仮放免許可

 不法滞在の外国人が逮捕され、入国管理局に収容された場合でも、一定の要件を満たしていれば「仮放免許可」の申請を行うことにより一時的に釈放してもらうことができます。

 収容令書による収容期間は「30日(但し,主任審査官においてやむを得ない事由があると認めるときは,30日を限り延長することができる)」、また、退去強制令書による収容は「送還可能のときまで」と定められています。但し、被収容者の健康上の理由,出国準備等のために身柄の拘束をいったん解く必要が生じることもあります。仮放免は、そのような場合に請求により又は職権で,一時的に被収容者の収容を停止し,身柄の拘束を仮に解くために設けられた制度です。

仮放免の手続

1.仮放免の請求
 ・仮放免を請求できる人
   被収容者本人又はその代理人,保佐人,配偶者,直系の親族若しくは
   兄弟姉妹
 ・仮放免の請求先
   被収容者が入国者収容所に収容されている場合・・・当該入国者収容所長
   地方入国管理局の収容場に収容されている場合
      ・・・当該地方入国管理局の主任審査官

 なお,仮放免の請求に当たっては、仮放免が許可された場合に被仮放免許可者の仮放免中の身元引き受け及び法令の遵守等の指導を確実に行うための,身元保証人を決める必要があります。

<提出書類>
 (1)仮放免許可申請書一通
 (2)仮放免を請求する理由を証明する資料
 (3)身元保証人に関する資料等

2.仮放免の許可
 仮放免の請求があった場合は、入国者収容所長又は主任審査官が、被収容者の情状及び仮放免の請求の理由となる証拠並びにその者の性格、資産等を考慮して、その者を仮放免を許可できるかどうかを判断します。

<仮放免の許可に際して>
下記の2つの条件が付されます。
 1.300万円以下の保証金を納付
 2.住居及び行動範囲の制限,呼出しに対する出頭の義務その他必要と認める条件

 なお,保証金については,入国者収容所長又は主任審査官が適当と認めたときに限り、被収容者以外の者が差し出した保証書をもって保証金に代えることを許すことができます。保証書には、保証金額及びいつでもその保証金を納付する旨を記載しなければなりません。

3.仮放免の取消し
・取消事由
 仮放免許可を受けた外国人が,
  1.逃亡した
  2.逃亡すると疑うに足りる相当の理由がある
  3.正当な理由がないのに呼出しに応じない
  4.仮放免に付された条件に違反したとき
 上記1~4の場合は,入国者収容所長又は主任審査官は,仮放免を取り消すことができると定められています。

・ 収容
 仮放免が取り消された場合,仮放免されていた者は,収容令書又は退去強制令書により,入国者収容所,地方入国管理局の収容場その他法務大臣又はその委任を受けた主任審査官が指定する場所に再び収容されることとなります。

・ 保証金の没取
 仮放免が取り消されたときは,仮放免されたときに納付した保証金が没取されることになります。没取には全部没取と一部没取があり,取消しの理由が,前記1及び3の場合は保証金の全額,その他の理由による取消しの場合は保証金の一部が没取され,一部没取の場合における金額は,事情に応じて入国者収容所長又は主任審査官が決定することとなります。

※退去強制令書により収容されていた者が仮放免中に自費出国する場合,又は仮放免の許可に期限が付されている場合であって,期間満了により再度収容されたときは,仮放免の取消しではないので,保証金は全額還付されます。

仮放免許否判断に係る考慮事項

 仮放免の許否は、仮放免請求等に基づき、個別の事案ごとに諸般の事情を総合的に勘案して判断さます。許否に係る基準はありませんが、その許否判断に当たって考慮する事項は、出入国管理及び難民認定法第54条第2項及び仮放免取扱要領第9条において次のとおり定められています。
 ・被収容者の容疑事実又は退去強制事由
 ・仮放免請求の理由及びその証拠
 ・被収容者の性格,年齢,資産,素行,健康状態
 ・被収容者の家族状況
 ・被収容者の収容期間
 ・身元保証人となるべき者の年齢,職業,収入,資産,素行,
  被収容者との関係及び引受け熱意
 ・逃亡し,又は仮放免に付す条件に違反するおそれの有無
 ・日本国の利益又は公安に及ぼす影響
 ・人身取引等の被害の有無
 ・その他特別の事情